広く浅くで大惨事

ジャニーズとお笑いと特撮とプロレスの4ジャンルを兼任していたらこんなことになりました

贔屓がアーカイブを残さない

半年ほど前、お笑いで新しい推しができた。さすが2020年代の芸人なだけあって、SNSで頻繁に配信をしていて時代だなーと思う。

ところが、私の贔屓の配信スタイルがなんだかおかしい。

 

ニッポンの社長の思い出チャンネル - YouTube

新しく推すようになったコンビは公式のYouTubeチャンネルを持っているのだが、単独のネタが数本上がっているだけで主だった稼働は見られない。

頻繁に稼働しているのは辻さん(背の高い方、ケツさんじゃないほう)がゲーム配信をしている個人のYou Tubeチャンネルであるが、こちらも配信の時間が長すぎるとか、おじーず*1のノリが特殊とか珍しい点はあるけれど、奇跡的に治安がよく、おじ*2とおじーずの掛け合いは非常に面白い。アーカイブもほとんど残る。

注)このブログを覚えてくださっていたジャニオタの方向けに補足すると、お笑いはコンビ箱推しが基本で、個人のみを推す感覚はやや薄く、あってもあまり良しとされていない

ニッポンの社長辻の素人チャンネル - YouTube

 

配信スタイルが不思議なのは、辻さんが個人でやっているRadiotalkだ。

ニッポンの社長 辻の番組 - Radiotalk(ラジオトーク)

Radiotalkには、あらかじめ録音した音声を投稿する機能と、インスタライブの音声版のような、ラジオを生配信する機能がある。

辻さんはいま阪神関連のツイートが大いにバズっている*3ため、阪神の試合の振り返りについてはあらかじめ録音したものを投稿してくれている。ところが生配信については予告なし、アーカイブ一切なしのストロングゲリラスタイルなのだ。

ただのゲリラなら、インスタライブでも同じようなスタイルをとっている人がいるだろうが、辻さんの場合ここに生活リズムが超夜型という特性が乗っかってくる。

なので生配信をする時間帯、早朝3時~4時。これでアーカイブなし。

昼間に生活リズムを作っている人は当然聴けない。予告もないのでスタンバイもできない。

聴けているのは夜勤の方や、早起きして家事をされている方に限られてくる。

そうなると何が起きるかというと、ファンは毎晩贔屓のスケジュールとにらめっこしながら配信有無を予想し、「今日 配信 有?」といううわ言を呟きながら床につき、目を覚まして携帯を確認すると配信されていたというアプリの通知だけが残っていて、ファンの絶望ツイートがTwitterに投下されるのだ。

辻さんはゲーム配信の時間が長く、最大1日9時間ほどやるので、全部追いかけることは半ば諦めている。だが、Radiotalkではゲーム配信では聴けない、ご自身の近況についての情報が得られるので、朝方に話していたとわかると少ししょんぼりする。それこそ辻さん関連の事柄は全部抑えておきたいという、有る種の「無限回収」みたいなスタンスの方は、かなり堪えているように見受けられた。

今時の芸能人なら、どこにきっかけが転がっているかわからないから、自身のコンテンツは過剰なまでに宣伝して、いつバズっても良いようにアーカイブも残しておきそうなのに。

そう思っていると、ある考えに至った。

そもそもあのRadiotalkは、辻さんにとって「コンテンツ」なのだろうか?

 

辻さんの配信スタイルは少々独特だ。それは配信のタイミングだけではない。辻さんが視聴者に寄りかかっている度合いがちょっとおかしいのだ。

例えば、辻さんはかなりの機械音痴なのだが、おじーずにおすすめのゲーミングPCをさんざん調べさせ、その上ゲーミングに向いていないとアドバイスされていたMacブックを選ぼうとしてコメント欄で総スカンを食らっている。また、某配信でご自宅のヒントを出しすぎて危険だと諭されていた。

完全な内輪ノリというわけではなく、一定の線はきちんと引いて接してはいるのだが、それでも本当にキングオブコントの決勝に2回行った人ですか?と疑うくらい、自分のファンだけに対しては極端にフランクというか、気を許している気がする。

 

辻さんの配信スタイルへの疑問は、意外なきっかけで解決することになった。

【ZenlyやYay!など】若者に大流行!“常時接続SNS”デジタル社会の近未来は? - NHK クローズアップ現代 全記録

先日、偶然NHKのこの特集を見たのだ。すぐに、これは辻さんのことかもしれないと直感した。

以降、あのRadiotalkは「コンテンツ」ではなくて、「ゆるやかな生活の繋がり」であり、辻さんはLINEを常時繋ぎっぱなしにして「オンライン同棲」をしている最近の若者のようだと解釈するようになった。さすがに多忙なので本当に繋ぎっぱなしにしているわけではないが、生活の垂れ流しと解釈すればアーカイブがないことにも説明がつく。

LINE通話で「リモート同棲」1日12時間つなぎっぱなし。20代カップルの「お互いジャマしない」共同生活と、電車内で「音声と文字」会話が成立するワケ | アプリマーケティング研究所

夢女子のような表現で我ながら辟易とするが、事実Radiotalkは洗濯物を畳むなど何かしらの家事の合間にされている。

 

自分なりの解釈を見つけた結果、私は辻さんのRadiotalkが追えなくても、そこまで気にならなくなった。だってオンライン同棲の記事には、お互いに無言のときやどちらかが寝ているときも多々あると書いてある。あのRadiotalkも、繋がりのなかで、単に生活リズムが合わないときがある。ただそれだけだ。

 

薄利多売、その場その場の劇場での出会いを楽しむことが前提だったお笑い界隈も、コロナ禍で今やアーカイブありきと客に認識されるようになっている。

そんななか、辻さんは無意識のうちにその先の段階に足を踏み入れようとしている。

ここまで書いていて思うが、辻さんは配信を見聞きしている人のことを何だと思ってるんだろう?自分を肯定してくれるご近所さんだと思っているのだろうか?わからない。でも、こんな配信も本当にKOCを獲ってしまったらできなくなるだろう。いつか「昔はスケジュールを見て配信スケジュールを予想していたのよ」なんて思い出話をする時を待ちながら、私は今晩も「今日 配信 有?」と呟くのだった。

 

*1:視聴者

*2:辻さん

*3:https://togetter.com/li/1867812