広く浅くで大惨事

ジャニーズとお笑いと特撮とプロレスの4ジャンルを兼任していたらこんなことになりました

アメリカで加藤シゲアキに救われた話

これは加藤シゲアキを通じて交流したあるアメリカ人に、二年ごしに会いに行った話である。

2015年の夏、私は一年間アメリカに留学していた。

その時に大学からランゲージパートナーという制度があると教えられた。日本語を学びたい現地大学生と英語を学びたい日本人留学生をマッチングするというものである。

私は以前ドイツに住んでいたので、海外のコミュニティでオタ活することの難しさを痛感していた。当時日本人の友達に「しずるがキングオブコントの決勝に行ったの!」と話したところ、「しずるって誰?」と怪訝な顔をされたのを覚えていたからだ。

なので今回はオタトークができる友達が何がなんでもほしいと思っていた。そこで私は恥をかき捨てて「日本の芸能界、特にお笑いとジャニーズが好きです」と書いた。

アメリカの大学に到着したあと、私は大学がマッチングしてくれたアメリカ人学生と初めて会った。話してみるとなんと6人時代のNEWSが好きだったらしく、最近は昔ほど追いかけていないが加藤シゲアキが好きだと言った。私はしめたと思った。不思議とNEWS担と多く相互フォロワーになっており、また少プレを毎週見ていたためある程度の知識をすでに持っていたからだ。

またこの時にはピンクとグレーが中島裕翔主演で映画化されると明らかになっており、予習の原作本を読んでいたので、加藤さんは私の中ではある意味NEWSの推しメンになっていた。

そこで私は週に一度彼女に会うたび、YouTubeで加藤さんにまつわる動画を探しては一緒に見るようになった。本当は公式の動画を見たかったけれど、インターネット上のアップロードが禁止されている状態で海外から見れるわけなかった。

ある時は歌番組の動画だったし、またある時はドラマ化された「傘を持たない蟻たちは」だった。彼女はすでに日本語をかなり話せていたので、本人の発言はだいたい理解していたと思う。

もちろん私が補足しても説明できないような場面は時々あったものの、「シゲかっこいいー」が合言葉だった私たちには何の問題もなかった。

顔の良さは国境を越えた。

特にカウコンを一緒に見たときはNEWSについてだけでなく、いろんなグループについての昔の情報を教えてもらった驚いたものだ。私たちがいたのは確かにアメリカの片田舎だったけれど、その時だけ東京ドームに一緒に立っていた気がした。

いつしか2人で過ごすおしゃべりの時間はかけがえのものになっていた。

授業は全然かぶらなかったし、彼女も実家から通ってきていたのでずっと一緒にいた訳ではなかったが、ジャニーズについて二人でバカみたいに喋ってる時間は留学中の面倒ことをすべて忘れられた。

けれどもそんな時間はあっという間に終わりを迎える。

私は最後に、彼女に「傘を持たない蟻たちは」の単行本をプレゼントした。親に頼んで航空便で送ってもらった。少しでも荷物を軽くしたかったので、単行本にしてもらった気がする。

彼女はさすがに一人で読むのは難しいと言っていたので、私が代わりに音読したのを覚えている。それが最後の思い出だった。

 

それから2年過ぎた。彼女は珍しくSNSをやっていないタイプのアメリカ人だったし、私が壊滅的にまめでないことが祟っていつしか連絡を取ることもなくなってしまった。

しかしそんな私に転機が訪れる。卒業旅行で留学先に行くことにしたのだ。

いついつにアメリカに行くという内容をSNSに載せていろんな友達と会うことになったのだが、肝心の彼女だけは唯一知っていたGメールのアドレスに連絡をしても返事が来なかった。

もうあきらめた方がよいのかもしれない。そう思いかけたが、あの楽しかった日々を思い出して、これで最後と出発の前日に再度メールした。

すると奇跡的に返事が返ってきた。本当に奇跡だった。

しかしそこで私は現実に帰った。

せっかく彼女に会うならNEVERLANDのDVDを買うべきだった!!!!!

あの素晴らしいライブの映像を彼女に見せてあげる絶好のチャンスだったのにすっかり忘れていた。

しかしもう出発の前日。CDショップがある大きな町に行く時間はない。どうする私。

焦った私は急いで地元の本屋に駆け込んだ。

 

それからしばらくして、私はアメリカの地にいた。

待ち合わせ場所にいた彼女は全然変わってなかった。またこんな日が来るとは思ってなかった。

私は思いっきりハグをして、おみやげを渡した。

私が本屋で選んだのはNEWSが表紙のQLAPだった。

今思えば加藤さんのほかの小説をあげるという手もあったかもしれない。

だが私はもう二度と彼女のそばで加藤さんの文章を音読することはできない。

ならばより平易な文章で、かつ本人の思いがわかる音楽雑誌をあげたほうが良いと思ったのだ。

彼女は喜んでくれた。最高だった。

それから私はこの2年に起きたジャニーズの出来事を説明しまくった。

事務所から新しいグループがデビューすること、加藤さんがまた本を出したこと、NEWSはこんど宇宙旅行をテーマにしたCDを出すこと、ジャニーズJr.がYouTubeチャンネルを始めること。

彼女が一番驚いていたのは「NEWSに恋して」がリリースされることだった。

なぜならそれは海外からでもNEWSの声や画像に触れられるということを意味していたからだ。

これまでジャニーズはインターネット上に顔写真を載せることを禁止していたので、海外からジャニーズを見るとなるとどうしても違法動画に頼らざるを得なかった。違法動画はSNSを中心に拡散される。それはSNSをしていない彼女にはとてもハードルの高いものだった。そもそも違法だし。

しかしソシャゲとなると話が変わる。もう違法動画をこそこそ見なくてもNEWSの顔や声が、海外からも見れる、聴ける。ストーリーも日本人と同じペースで進められる。

NEWSに恋しては、日本のファンと海外のファンが初めて同じペースでオタク活動をできるツールなのだ。

これから一緒にプレイできるのが待ち遠しいね。私たちはそう言って別れた。

 

そして今日、私は早速アプリをダウンロードした。すでに彼女にもホームページのURLを送りつけてある。

私たちはこれからフレンド登録をして、お互いにわいわい話しながらゲームを進めていくことになるだろう。

加藤シゲアキとNEWSのおかげで出会った私たちは、加藤シゲアキがインターネットに頼らない小説というものを生み出してくれたおかげでより仲を深められたし、ソシャゲという海外からでもアクセスできるツールを解禁してくれるようになったおかげで、遠く離れていても交流を続けられている。

アナログとデジタル両方に精通する体制をとってくれた加藤シゲアキさんとNEWSとNEWSの運営の方、本当にありがとう。

そうお礼をしたくなって、私は最新のアルバムを購入した。

いつか、いつかまた私が彼女に会えるなら、その時は一緒にNEWSのコンサート行きたい。そう思った。