『でっけぇ風呂場で待ってます』に登場する「KOUGU維新」について掛け持ちファンが解説してみる
3/8放送の北山宏氏&佐藤勝利氏主演シンドラ『でっけぇ風呂場で待ってます』第6話に、去年から私が推しているお笑いコンビ「きつね」のキャラ「KOUGU維新」が出演するらしい。
去年話題になったこの「KOUGU維新」だが、ジャニオタの方は意外とご覧になっていなかったと思う。あの奇抜な2人は何ぞや?と思われた方へ、ジャニーズときつねの掛け持ちオタクが、ドラマをさらに楽しむためにも解説してみる。
KOUGU維新とは?
日テレで水曜19時から放送されている『有吉の壁』。その中の「流行語大賞の壁を越えろ!ブレイク芸人選手権」というコーナーできつねが生み出したキャラクターだ。
刀剣……ではなく工具に命が宿った男士が討幕運動後の明治時代を復興するというコンセプトで、明らかに2.5次元ミュージカルおよび「ミュージカル刀剣乱舞」を元ネタとしている。
元々「流行語大賞の壁を越えろ!ブレイク芸人選手権」はエンタの神様で一発屋になりそうなキャラをコンビごとに考えて発表するという、日テレの自虐コーナーだ。ところが、一発目でチョコプラの「TT兄弟」というキラーコンテンツが生まれてしまい、「エンタを揶揄するような中身のないネタ」かつ「バズる」という、相反するレギュレーションを抱える芸人泣かせのものになってしまった。
この難題にきつねが出した答えが、「ヤバイ2.5次元舞台に存在する虚無感」だった。「
デスノート THE MUSICAL 」などを手掛けるホリプロ系列の事務所に所属し、EDMを駆使した漫才を持ちネタとするきつねだからこそ思いついた芸当だ。
しかし金髪で王子様系の「プラスドライバ」と赤髪でやんちゃな「やっとこ」のシンメが「KOUGU維新のテーマ」という絶妙に聞いたことのありそうな楽曲を歌うというネタが、コロナ禍で供給に飢えていた2次元および2.5次元ファンにぶっ刺さってしまい、瞬く間にトレンド入り。
日テレにはBSで元ネタである「ミュージカル刀剣乱舞」を放映しており、元々2.5次元についてのノウハウがあるので、即座に新キャラ*1を増やして続編を次々出し、アクスタを発売。最終的にはHulu限定でミュージカルが配信されていったんシリーズは終焉となった。
藤北やふまけんを普段からご覧になっている、キスマイとセクゾのファンの皆様なら、KOUGU維新の人気ぶりをご想像いただけるだろう。
ちなみにドラマの予告でKOUGU維新が叫ぶ 「親方様」というフレーズはいわばゲームをプレイする人間の呼称で、刀剣乱舞における「審神者」やFGOにおける「マスター」みたいなものだ。まさかKOUGU維新が佐藤勝利本丸だったとは……。
なぜ『でっけぇ風呂場で待ってます』に出るのか?
ジャニオタの皆様はシソンヌのじろうさん、ハナコの秋山さん、かが屋の賀屋さん、空気階段のかたまりさんが脚本を書いたシンドラという印象しかお持ちでないかもしれないが、この作品は従来のシンドラとは一線を画している。ドラマ制作部ではなく、有吉の壁のプロデューサーが発起人となって制作し、普段共演している芸人を招聘した形で、いわば有吉の壁の派生作品なのだ。
きつねは「プラスドライバ・やっとこ」として出るのか俳優「乙ルイ・淡川幸一郎」として出るのか?
何を言っているのかと思うかもしれないが、実はこのKOUGU維新にはもう一段仕掛けがある。
KOUGU維新には「2.7次元ミュージカルとしてのキャラ」のほかに「それを演じる若手俳優」の設定も存在するのだ。
KOUGU維新はテレビの他にYouTubeやニコ生でファン向けの生配信も行っていたのだが、そこではきつねとしてではなく、プラスドライバを演じる「乙ルイ」、やっとこを演じる「淡川幸一郎」という「若手俳優」として出演することを徹底していた。いわば入れ子構造だ。
お笑い好きならjealkbのhaderu*2、2.5次元を通ったことがある人なら「アイドルステージシリーズ」、ジャニオタなら「TAKATSU-KING」と例えれば通じるだろうか?
俳優の設定が乗っかっていることがKOUGU維新をさらにややこしくさせているが、そこはパロディだからという理由でちゃっかり抜け道を用意している。
テレビ放送ではネタが終わるとキャラの格好できつねが話し、逆にファンしか見ない配信では入れ子構造を徹底させ、雑誌やネットメディアのインタビュー記事ではKOUGU維新のキャラとして、若手俳優として、きつねとしてのインタビューを媒体ごとに使い分けているのだ。これにより、入れ子構造の「初心者に説明しづらい」という課題を無意識のうちに解消してしまった。
設定厨が設定に首を絞められる形となってご本人は多いに苦しんでいたものの、これが本家2.5次元ファンの心を掴んだのではないだろうか。
これまでこのドラマに出演した有吉の壁メンバーは、有吉の壁とは全く関係ない、独自の登場人物を演じていた。しかし今回きつねは「KOUGU維新」のまま出演している。もしかするとこのドラマがマーベル作品のようにKOUGU維新と同一の世界線であると示唆されるかもしれないのが、第6話なのだ。
KOUGU維新は『でっけぇ風呂場で待ってます』と同様、Huluで配信されている「有吉の壁」の過去作*3ほか、上記のYoutubeで追うことができる。
すでにシリーズが終了したコンテンツのはずなのに、今回ドラマに出演するし、おまけに公式が何やら新展開をにおわせているので、気になる人はぜひ今からでも見てみてほしい。