広く浅くで大惨事

ジャニーズとお笑いと特撮とプロレスの4ジャンルを兼任していたらこんなことになりました

なぜゼウスは土下座をさせたがるのか

最初にお断り:時間の都合でこの記事はゼウス第三弾放送前に書きました。なので放送を見たうえでの執筆ではありません。

 

さて、今日はいよいよゼウス第三弾の放送日です。

www.tbs.co.jp

 

しかしこのゼウスという番組、ジャニーズと芸人さんが多数出る割には回を重ねるごとにどうも評判が悪い。第三弾が発表された時点でも盛り上がりに欠けていました。

この番組に関しては、PRの仕方とか(ツイッターとか)いろいろ問題点はあるのですが、ジャニーズファンの方々が特に嫌悪感を示すのが、敗者が土下座をするという点です。この番組、過去二回ジャニーズが負けており、そのたびに土下座をしています。あまりにも不評なのでいよいよやめるかと思いきや、今度は土下座する人たちに電流を流すという。少なくともジャニヲタからは不評の嵐です。

 そこでお笑いとジャニーズの兼ヲタをしている私は考えました。

 そもそも、どうしてゼウスは土下座をさせたがるのか?と。今回は前半にお笑いヲタクとしての視点から土下座の背景に迫り、後半でジャニヲタとしての視点からなぜ土下座が受け入れられないのか分析してみようと思います。

 

 TBSの得意分野

 

 

土下座の理由を説明するために知っておいていただきたいのが、TBSが特番を作るときの得意分野です。

土下座の理由に思い当たったきっかけは、ゼウスの制作者が過去に手がけた番組でした。この番組の総監督を手掛けている乾雅人さんが携わった番組を見てみましょう。

twitter.com

SASUKE」「リアル脱出ゲームTV」。これらはTBSの得意とする大がかりなセットを用いた番組です。また、乾さん担当ではありませんが「究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂上決戦」なども有名ですね。この番組やSASUKEはTBSの人気番組だった筋肉番付から派生したものなので、筋肉番付が現在の番組づくりにも活かされているということがわかります。(筋肉番付知らない世代いそうだな……)

 

番組のハード面について説明できたので次はソフト面であるコンテンツに移ります。

 

TBSがコンテンツとして得意なのは、「スポーツ」「お笑い」「ジャニーズ」です。(アニメも入れられそうだが本筋から逸れるしTBSよりもMBSの印象が強い関西人なので割愛)

スポーツが得意なのは筋肉番付やSASUKEなどから理解しやすいと思います。何よりTBS横浜ベイスターズを所有していました。現在でも炎の体育会TVやったりボクシング中継したりと、スポーツはTBSの強みとなっています。

お笑いはサンジャポを筆頭とした爆笑問題の複数の番組(正直ここの知識が浅いので例を出せない)や、キングオブコント(ライスおめでとう!)など多数の番組を作っていることから。近年ではめずらしく芸人さんのみで構成される番組が多く、お笑いヲタクとしてはありがたいと思っています。

ジャニーズに関しては私よりもファン歴長いオタクの人のほうがわかってらっしゃると思うけど特にジュリー班と言われていた人々とのつながりが強いです(ここに関しては他のオタクの人の記事ぐぐってくれ……)

 

TBSの得意分野は「スポーツ」「お笑い」「ジャニーズ」と巨大なセットを組んだ特大番組。これらの要素の中から巨大セットと「スポーツ」を組み合わせたのがSASUKEであり、巨大セットと「お笑い」「ジャニーズ」を組み合わせたものがゼウスなのです。

さらに付け加えると、10年ほどまえに乾さんは「DOORS」という、芸人版SASUKE(まさに巨大セット×「お笑い」)のような番組を手掛けていました。なのでゼウスはこの「DOORS」のリブート版としての背景も持っているのです。

 

他の大型番組とは違う「ゼウス」の決定的な欠点

 

ではここからが本題です。先に述べた通り、TBSは「SASUKE」や「リアル脱出ゲームTV」「究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂上決戦」などの巨大セットを用いた大がかりな番組が得意です。しかし、これらの番組とゼウスには決定的な違いがあります。

それは、「ゼウスは他の番組と違いオチがない」ということです。

SASUKE」「究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂上決戦」は個人競技ですので優勝者が決まれば番組としてきれいに終わることができます。「リアル脱出ゲームTV」は謎が解ければ終わりです(一番早く解けた方に車を贈呈していましたが)。しかし、ゼウスはいくら真剣勝負をしているとはいえ上に述べた二つの番組のような、ストイックさやアスリート要素がありません。あくまでもバラエティです。そのため芸人軍、ジャニーズ軍どちらかに軍配が上がっただけでは番組としてスッキリとしません。

そこで制作陣はバラエティ的要素で決着をつけようとします。それが罰ゲームであり、ゼウスでいえば土下座なのです。

 

土下座の問題点

 

しかしこの土下座にも問題があり、その背景に二つのことがあると思います。一つは、お笑い界における罰ゲームや土下座の価値観の変化です。例としてスーパーマラドーナという、関西の漫才師を挙げさせてください。彼らはドツキ漫才(要はたたいて突っ込みするやつ)で有名で、関西での人気もなかなかなものです。しかし彼らはすこし前、漫才文化のある関西でさえ、最近はドツキ漫才にひいてしまうお客さんが多いということを話していました。

私はここに、近年のお笑い風土の変化があると思います。これはあくまで推測ですが、いじめ問題や恐喝事件などがよく報道されるようになり、土下座や罰ゲームなどは以前よりお客様に受け入れられなくなっているのではないでしょうか。

 

二つ目はジャニーズファンのスタンスです。これはジャニヲタになってから発見したことですが、ジャニーズのファンはお笑いオタクのように推しているタレントが罰ゲームを受けてほしいとは思っていません。ただみんなが仲良くしているところが見たい。「土下座いらないから勝者がごちそう食べに行けばよい」というツイートを以前目にしたのですが、ここにジャニーズファンの思いが表れていると思います。

 

結局ゼウス制作者のどこがまずかったのか

私はゼウス制作者の最大のミスは、制作者と視聴者のニーズの違いをつかめなかったことにあったと思います。ゼウス制作者はバラエティ畑の方ばかりなので当然バラエティ的結果を追い求めます。そのバラエティ的結果も、現在のお笑い事情を反映していないものですが。しかしゼウスを見る人の大半はジャニーズファンです。視聴者はジャニーズの扱いを重視して番組を見ます。私はここに制作者と視聴者の間にニーズの齟齬があり、それゆえ土下座は大きく問題視されるようになった割には制作者はそれをやめないという構図が生まれているのではないかと思っています。

 

それではゼウスは今後どうなるのでしょうか?正直私はゼウスはまだしばらくやるだろうなと思っています。今回は触れられなかったのですが、実はTBSはいまSASUKEの海外進出が非常に好調なうえ、「究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂上決戦」も年始にアスリートとの対決特番が控えています。ゼウスはこれに続きたいでしょう。そのためには土下座はなんとしても改善したほうが良いと思います。私はジャニーズを起用しつつ面白いスポーツ番組にするという点では、VS嵐を参考にすればうまくいくと思っているのですが、果たしてゼウスがそうなるかはわかりません。だってゼウスはフジテレビじゃなくてTBSですからね……。

 

とはいえ兼ヲタとしては自分の好きな芸人さんとジャニーズが共演してくれるまたとない機会ですのでゼウスが改善されてこれからも続いてくれることを願っております。がんばれTBS