広く浅くで大惨事

ジャニーズとお笑いと特撮とプロレスの4ジャンルを兼任していたらこんなことになりました

【ネタバレあり】舞台『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝-を仮面ライダー鎧武のオタクが見て嗚咽が止まらなかった話

胸がいっぱいでご飯いらないと思ったのは初めてです。

もうなにも手につかないのですがとりあえず急いでネタバレ全開の感想書きます。

 

本作、舞台『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝-は2013年に放送された佐野岳主演の「仮面ライダー鎧武」のスピンオフに当たる作品です。ジャニーズに例えるならばSHOCKのライバルや、ドリボのケントを主役にした作品と例えればわかりやすいでしょうか。

舞台『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝- | Nelke Planning / ネルケプランニング

 

京都劇場に入るとグッズだけでなく、本作オリジナルのフィギュアが展示されていました。「本当に斬月が舞台になったんだ」と胸がいっぱいになりました。

仮面ライダー鎧武は私が特撮の劇場に行くようになったきっかけをつくった作品です。それだけに期待と不安で私は押し潰されそうでした。

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いざ公演が始まって呉島貴虎が出てきた瞬間に号泣してしまいました。開始1秒。

テレビで、映画で、DVDで、現場で見た呉島貴虎が、時を経て6年ぶりに再び私の前にいる。それだけでもう駄目でした。

ナレーション、サントラ、そして変身したライダー、全てが私の愛する仮面ライダー鎧武の世界そのままで。この世界に自分が来ることができたんだと感慨深いものがありました。

基本的にネタバレを見ずに観劇する派なので、外伝のDVDのように本編の補完となるサブストーリーをやるのかな程度に思っていたのですが、2時間丸々ファイナルライブツアー(テレビ放送が終わると開催される現場。特撮のキャストが地方を回る)の一幕でやってるスペシャルヒーローショーだと気づいたときには驚きました。まさか動く岩で変身前/後のキャストを入れ換える演出をここで見ることになろうとは!

また、配役発表前はあえて違う役者に本編の役をやらせるのかなと思っていたのですが、本編に出ないオリキャラでありつつもかつての本編キャラを意図的に彷彿とさせるもので脚本家の恐ろしさを思い知りました。なぜならそれは呉島貴虎にまた本編と同じ運命を背負わせようとする行為であったからです。

本編のキャラとは別物だが限りなく近しい者たちがロックシードで戦い、大人たちを憎み、インベスを殺す。

呉島貴虎の消えぬ罪を改めて実感させるストーリーに、これは1年間のテレビシリーズと映画とDVDの外伝と小説のカルマを呉島貴虎が2時間で背負う物語なのだと気付いて胸がいっぱいになりました。

しかもただの仮面ライダーじゃなくてFateまどマギなどを手掛けた虚淵さんが作った仮面ライダー鎧武ですよ!一秒一秒がしんどい!あんまりしんどいという言葉使いたくなかったけどとにかくしんどいんです!

特に初瀬ちゃんとリーダーがビャッコインベスになった話が再現されたときにはここまでやるか……と恐ろしくなりました。テレビ本編でインベスの正体が明かされた時、衝撃にうち震えたのをいまでも覚えています。まさかあのインベスの右腕を生で見るなんて!

今回の呉島貴虎は他の作品で言うところの、ミュージカル刀剣乱舞三日月宗近に似ていました。とにかく業が深い。

繰り返される悲劇を心を入れ換えた呉島貴虎がどう乗り越えていくかということがテーマになっており、その答えを本作品でしっかりと提示したことでこれは単なる「外伝」ではなく呉島貴虎の視点で描かれる「続編」なのだなと感じました。

 

配役についても触れておきましょう。

本作の共演者が発表されたとき、「元ジャニーズとテニミュ出身者と現役刀ミュキャスト!」と突っ込みました。好きな人、気になってた人たちばかりで嬉しかったのですがあまりにもオタクを狙い打ちしているなと。(地味に跡部様役が二人そろってるのすごい)

ですがいざ舞台を見てみると、本編のダンスチームをオマージュしたダンスシーンの時間が結構長く、そりゃあ元ジャニーズとテニミュ出身者じゃないとできないわと納得しました。あと仮面ライダー鎧武って実質少年たちみたいなものだしね!

強いて言うならマイケルジャクソンのトリビュート公演に出ていた丘山晴己さんにも踊って欲しかったです。しかし彼が演じる鎮宮にはレデュエの斧で戦うシーンがあり、これもまたミュージカル刀剣乱舞薙刀の刀剣男子である巴形薙刀を演じた彼でないとできないなと、その配役のうまさに驚かされました。

 

ジャニヲタの皆様にとっては大きなサプライズとなった萩谷くんの起用については、素晴らしい采配だったと思います。

先に述べたように本作ではテレビ本編のキャラと意図的に同じ役割を与えられたオリジナルのキャラが登場しています。

そんな中で萩谷くん演じるアイムは鎧武と名前が一文字違いであることからわかるとおり一番その傾向が強く、一部の鎧武ヲタからジェネリック紘汰さんと呼ばれているほどでした。

実際に見てみると、声が葛葉紘汰そのまんまで、本当に葛葉紘汰を演じた佐野岳が出てるんだっけ?と錯覚したほどです。

そんなアイムに呉島貴虎は葛葉紘汰を重ね、スクリーンにはテレビ本編の葛葉紘汰の姿が映し出される。当然オタクは号泣です。

それではありません。クライマックス直前には葛葉紘汰がアイムの体に憑依し、呉島貴虎に語りかけるというシーンが!まさか佐野岳がナレーションで参加しているとは思わなかったので、この演出にはもう駄目でした

野岳の声に合わせて動く萩谷くんを見ていると、本当に紘汰がアイムの体を通して話しているようにしか見えなくて、嗚咽が止まりませんでした。

まさか忙しい佐野岳を舞台に出せないという事情を逆手に取るなんて。

舞台にいないはずの葛葉紘汰が、たしかにそこにはいたのです。

萩谷くんはきっと本編を熱心に研究してくれたのでしょう。萩谷くんが鎧武に変身して戦う姿を見て、仮面ライダー斬月に出てくれてありがとうと心から思いました。

 

舞台が終わるとロビーにはBlu-rayの予約をする列ができていました。そりゃああんなものを見せられたら鎧武ファンは買わずにはいられません。私ももちろん予約しました!

 

 

休憩なしの2時間の舞台は、私を大好きな仮面ライダー鎧武の世界に連れて行ってくれました。本編放送からもう6年と考えるとぞっとしますが、6年経っても東映や俳優さんがそんな鎧武ファンのことを第一に考えた作品を今回世に送り出してくれたことがこの上なく幸せでした。

仮面ライダー鎧武を、ヒーローを応援していて良かった。そう強く思った春の夜でした。