「この高鳴りを僕は青春呼ぶ」 最高に泥臭くて最高に格好良い冒険譚
推しである正門くんが出る滝沢歌舞伎がどうしても見たくて這いずり回っていたら、ありがたいことにチケットを譲ってもらえた。
午後休を取ったものの、南座に入場するまでの間あまりにも待ち時間が長かったので、私は一冊の本を読んだ。
「この高鳴りを僕は青春と呼ぶ」だ。
NSC16期のお笑いコンビであるサンシャインの坂田さんがエッセイの大会で優勝した作品を大幅にボリュームアップさせたもので、少年時代と芸人になってからの日々を綴ったものだ。
サンシャインはコンビ名でサンシャイン池崎さんとは別物である。
サンシャインといえば泥臭いけど単独ライブのフライヤーがものすごく格好良くて、面白いコントをするという印象を持っていたのだが、本人が綴る文章もほんとうに人柄そのまんまで、まるで少し年上の、格好良い先輩の冒険譚を新宿の飲み屋で聞かせてもらっているようだった。
NSC16期は若手芸人の中でも特に好きな期のうちの1つなので、物語を読み進めるうちに知っている芸人さんの名前が次々登場して、私はとても興奮した。
お笑い好きの方にはぜひこの誰が登場するんだろうというワクワク感を味わってほしいので、誰が出てくるかは言わないでおくが、ナルトのファンがBORUTOを読むようなものだった。
登場人物は知っている人ばかりなのに坂田さんから語られる物語は私の知らないものばかりで不思議な感覚に襲われた。それと同時に客と演者の距離が近いお笑いというジャンルでも、客には語られないことは多くあるのだなと実感した。
文中には何度も坂田さんが大好きなアーティスト、銀杏BOYZの峯田さんが出てくる。正直私は峯田さんのことを詳しく存じ上げないが、文中の描写に触れる限り坂田さんも峯田さんというロックンローラーのように格好良いぞ伝えたい。
こんなこと言うと気持ち悪がられるかもしれないが、本を読み終わってから無性に坂田さんのことを抱きしめて頭をワシャワシャしたいくらい、いとおしくなったのだ。
「関西ジャニーズJr.のお笑いスター誕生!」をお笑いとジャニーズの兼ヲタが見てみた - 広く浅くで大惨事
芸人さんを題材にした作品といえば、私は去年関西ジャニーズJr.が若手芸人を演じた作品の感想文を書いた。
神様が一瞬だけほほえんでくれる瞬間が忘れられなくて泥臭く汗をかいて、それがキラキラしているところはきっと芸人さんもジャニーズも一緒だと思うからだ。
滝沢歌舞伎の開演前というこのタイミングでこの本を読めて本当に良かったと思った。
そのキラキラを見に行ってきます。